前回の「【6】 欧州気候法 概要1 」では、欧州気候法の目的、目標や期待される効果を紹介しました。今回は欧州気候法において法的拘束力がある事項、懸念される点について説明します。

1. 法的拘束力がある事項

排出削減義務

2030年に温室効果ガスを55%削減(2019年比)・・・確定目標

2040年に温室効果ガスを90%削減(2019年比)・・・法案目標

カーボンクレジットは5%使用可(実質85%削減)。

これらの目標は法的拘束力を持つ。

進捗管理

EU委員会は各加盟国の進捗を定期的に評価

加盟各国には所定の方法での報告義務がある。

中間目標の設定と調整

2040年目標の採決後、各国はEUの気候変動適応戦略を考慮して国家適応戦略 および計画を策定、実施する必要がある。

除去量上限

十分な緩和努力を行うため、2030年までに排出削減に貢献する純吸収量をCO2換算で2億2,500万トンに制限。

欧州気候法における法的拘束力の主軸は、排出削減目標の履行義務です。

2030年・2040年の温室効果ガス(以下GHG)の削減目標には法的拘束力があり、加盟国には『2030年目標として1990年比でのGHG排出量55%削減を遵守する』義務があります。

加盟国は、この中間目標達成に向けた国家エネルギー・気候計画(NECP)を制定し、政策・施策と数値目標を明示することが求められており、EU全域で統一されたGHG計算方式、排出モニタリング・報告制度の遵守を保証する義務があります。加盟国は、この報告において年度ごとの排出データなどを提出して、欧州委員会による進捗評価を受ける必要があります。

この評価後、進捗状況が目標に沿っていない場合、加盟国は勧告に従い調整・修正を行う義務もあり、その理由を説明することも法的に定められています。