**COP30では、**適応(気温変動の影響を軽減するためのインフラ整備などの取組)の世界目標として「ベレン適応指標」が決定され、「国際公正移行メカニズム」が設置されるなど、一定の成果が見られました。しかし、2025年はパリ協定に基づく5年毎の各国目標(NDC)の提出年でしたが、協定締約国の4割がNDCを提出せず、地域による意識差が顕在化し、パリ協定の実効性に疑念が生じる形になりました。
4℃を超える可能性があるとされていた平均気温上昇の予測が、提出されたNDCの合算からの推定により初めてマイナスに転じ、気温上昇が2.0~2.5℃に抑えられる可能性が示されるなど明るい情報がありましたが、世界情勢の変化もあり、エネルギー安全保障や雇用問題を理由に、化石燃料からの脱却に関するロードマップ案は削除され、合意文書にも「化石燃料からの脱却」を明記することができませんでした。
・パリ協定のルールブック完成後の実装フェーズの課題解決
・2035年目標(NDC)の提出
・ムチラオ(ブラジルの伝統的な共同作業の概念)の提唱
・緩和と適応
・化石燃料からの脱却
・公正な移行資金に関する新メカニズム設置
・気候資金 「損失と損害」基金の運用
パリ協定採択から10年という節目にあたり、国際気候ガバナンスの歩みを総括し、次の10年の方向性を再確認する内容が盛り込まれました。
****1992年のUNFCCC、1997年の京都議定書、2015年のパリ協定という多国間枠組みの進展を評価しつつ、依然として実施面でのギャップが存在することを指摘しています。また、2025年のNDC統合報告、透明性報告、適応計画の進捗は一定の前進を示すものの、1.5°C目標達成には不十分であり、依然として課題が残っていることが示されています。
この章では、「科学・公平性・多国間主義の再確認」がされており、IPCCの知見を基盤とし、1.5°Cと2°Cの間に存在するリスクの大きな差を強調しています。特に、1.5°Cに抑えることが、極端気象、海面上昇、生態系崩壊、食料安全保障などのリスクを大幅に低減することを再確認しており、過去10年で再エネの急速な普及、技術コストの低下、クリーン投資の増加など、世界の低炭素移行が「不可逆的」であると明言しています。
****さらに、国際協力の重要性が強調され、UN機関、MDB、金融機関、市民社会など多様な関係者の役割が明確に位置づけられ、特に、先住民、女性、若者、脆弱層の権利と参加が、気候行動の正当性と実効性を高める要素として強調されています。
本章は、COP28での初回グローバル・ストックテイク(GST)の完了を受け、パリ協定の政策サイクルが「“ルール作り”から完全に“実行段階”へ移行した」ことを公式に宣言するというCOP30の位置づけを明確にする内容となっています。
****122か国のNDC提出、80か国の長期戦略(LTS)、71か国の適応計画(NAP)、119か国の透明性報告(BTR)など、制度的枠組みが整備されつつあることが評価される一方、実施段階での課題も示されました。特に、途上国の適応資金アクセスが困難であること、透明性枠組みの実施負担、NDC実施のための資金・技術不足など、実装フェーズ特有の課題が強調されています。